医療薬学版TED、”TEDMED”とは?2015年イベントのテーマにも注目!

医療薬学版TED、”TEDMED”とは?2015年イベントのテーマにも注目!

医療薬学版TED、”TEDMED”とは?2015年イベントのテーマにも注目!

Photo: Jorgen Lehl “Who does the earth belong to?”

 

先日、11月16-19日にかけて開催されたMEDICAについてお伝えする記事を書いたが、ほぼ同時期の11月18-20日には、TEDの医療・薬学版であるTEDMED Talksのイベント”TEDMED 2015“がアメリカで開催されていた(残念ながらもう終わってしまったので、記事のタイトルには【遅報】と入れてある)。

 

TEDMEDとは、TEDの創立者によって設立された、TEDMED Talksという医薬系がテーマのピッチイベントなどを行うコミュニティ。医薬に限らず、各界から突き抜けた人やぶっ飛んだアイディアを集めてきてさまざまなピッチを行い、サイエンスと実社会を結びつけることで、この分野のイノベーションをもっと進めていこう、という目的で運営されている。2009年以降、TEDMEDで行われている様々なトークは、以下のサイトに行けば誰でも無料で閲覧可能だ。

http://www.tedmed.com/videos

 

また、youtubeのページにも同様にアップロードされている。

https://www.youtube.com/user/tedmed

(↑ これは、最も再生回数が多い「エ・プルリブス・ウヌムの音とは?」というvideoである。エ・プルリブス・ウヌム(E pluribus unum)とは「多数からなる一つ」という意味で、アメリカ合衆国建国時のコンセプトの一つ)

 

さて、”TEDMED 2015″はこのTEDMEDの年に一回のイベント。医薬界のみならず、各界のビジネスリーダーや政府関係者などさまざまなゲストを集め、いま世界で何が起こっているのか、医療や薬学の世界に求められていることはなにかということについて熱いピッチが繰り広げられる。2014年のイベントには140以上の国から20万人以上が参加した。

 

2015年のテーマは「ブレークスルー」。Webには、「今年は、従来の仮説のブレークスルーと、何が可能なのか?――私たち自身、あるいは私たちの取り組み、そして私たちの世界全体において――ということについての新しい科学、新しいビジョンが示されることを期待している」と述べられている。

 

イベントの内容は、50人のスピーカーによる8つのセッションと、A (architects) to Z (zoologists)と主催者が誇る多様な各界からの代表者が集まってのネットワーキング。この記事では、そのセッションの内容をご説明したい。セッションの一覧は以下のリンクから確認できる。

http://www.tedmed.com/event/stage2015

 

・Human Explorations (人間を探求する)

ここではさまざまな興味深いテーマが挙げられている。性に関する神話と真実、不屈の人間精神、遺伝データによる人の識別方法、DNA編集という先端技術、悩める魂、人体のポテンシャル最大化、ミュージカルによる心身の祝祭。ゲストにはエンジニアからジャーナリスト、ヒーラーまで、様々なアプローチでHumanを探求していく。

 

・Mind Matters(心について)

様々な分野における取り組みに基づきながら、脳の秘密に迫るのがこのセッション。最新の脳神経科学のみならず、スピリチュアルや幻覚、心理学、心療内科などの分野から多様な人々が集まってセッションを形作る。

 

・Catalyzing Great Science(「科学」を触媒する)

「科学」というアカデミアの世界を出て、様々なフィールドと関係を持つリスクテイカーの科学者たちが、従来の「科学」のパラダイムを転換していく。このセッションのゲストたちは、そのような作用を促進するような面々だ。HIV/AIDSの患者と向き合う専門医、様々な研究の懸け橋となるプロジェクトの代表、バイオ電子工学の創始者など。

 

・Back to Basics(初心に帰る)

健康という概念はしばしば「健康管理」という世界からはかけ離れた場所で形作られる。イノベーションの先端にいる人々と考える、新しいソリューション。

 

・Food Fix(食を整える)

食に関するあらゆるゲストを揃えたセッション。持続可能な農業、公正な農業、食の安全に交じって、昆虫食ビジネスをやっているゲストも。

 

・Techno-Utopia(テクノ・ユートピア)

健康と医療のために活用される新しいテクノロジー。人工DNAの創造や、機械学習を通じた医薬品の新たな利用法の開拓など、テクノ・オプティミズム――技術によって素晴らしい未来は実現されるというような単純な立場――にあえて立ちながら様々なディスカッションがなされる。

 

・Who Cares for Health Care?(誰がヘルスケアをケアしているのだろう?)

医療システム、ヘルスケアのシステムそれ自体を考えてみようというセッション。これは非常にクリティカルな視点をもったセッションのように思われる。ゲストは、民族社会学者、医師、医療アナリスト、など。

 

・Out There(その先へ)

SFのようにすら思えるような新しい発見。未来はどのように変わっていくのか。作家も交えたこのセッションでは、全く新しい世界が展開する未来を前提としながら、ヘルスケアについてディスカッションが行われる。

 

* * *

 

TEDMEDのセッションは、放射性物質の影響ですら妄言とされる日本に住む立場からすると、あまりに突拍子もない、悪くいえばトンデモの発表が多いようにも思われる。しかしだからこそ、アメリカには素晴らしいイノベーションが起こるのだろうとも思った。このような、まったくケイオスでつかみどころのない、多様で抽象的でも具体的でもあるようなセッションの数々、一つとして日本で開催されるようなものはないだろう。

 

日本とアメリカ西海岸は太平洋を隔てて向かい合っているとはいえ、あまりに遠いので、気軽に拝聴に行けないのが残念だ。しかし、今日ではインターネットのストリーミング配信がある。過去のTEDMEDを観ながら、自分も何かインスピレーションを得てみたいものだ。

 

Writer: げ

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