コーネル大学のバイオ研究プログラムがNY州から920万ドルの補助金を受給決定

コーネル大学のバイオ研究プログラムがNY州から920万ドルの補助金を受給決定

コーネル大学のバイオ研究プログラムがNY州から920万ドルの補助金を受給決定

ニューヨーク州にあるコーネル大学Cornell Universityの先端技術センターCenter for Advanced Technology (CAT)は、このたび州の補助金920万ドル(日本円にして約11億円)を獲得しました。12月2日付でニュースリリースされています。

Life science center awarded $9.2M by New York state

これと同時に、Empire State Development’s Division of Science, Technology and Innovation (NYSTAR)とのプログラムも今後10年以上継続されることが決定しました。補助金はこのプログラムに紐付いているもので、年間1億円程度の補助と見ることができます。

 

コーネル大学のCATは、コーネル大学バイオ技術研究所Institute of Biotechnologyが運営する団体。ニューヨークの企業などと連携し、薬学、農学、化学、環境などの分野の研究成果について、ビジネス化のポテンシャル分析やパートナーシップの形成を行うことを目的としています。

Center For Advanced Technology (CAT)

 

また、年に一度CAT Awardsを開催し、ニューヨークの最も優れたバイオ系アントレプレナーを表彰し、資金提供やビジネス開発支援など、さまざまなサポートを州と共同で提供しています。以下で、その内容を紹介しましょう。

 

2015年度に採択されている研究課題の一覧は、次のようなものです。(2010年度以降のプロジェクトは、サイトに掲載されています)

CAT Projects

  • Enhancing the Precision of Plant Disease Management
    • 植物疾患マネジメントの精度向上:現在、大量の殺菌剤が葉枯病を回避するために使われている。このプログラムでは、環境データの解析により葉枯病の発生を予測し、適切な殺菌剤の使用を提案する。Green Field CropTech, LLC.との共同研究。
    • Green Field CropTech:http://www.greenfieldcroptech.com/

 

  • Development and Validation of Customized Loading Bioreactors for Cartilage Tissue Engineering
    • 人工軟骨組織のための特製バイオリアクターの開発と検証:椎間板組織のための人工組織を作成するためのバイオリアクターを開発するプロジェクト。 GE Global Researchと組み、産業レベルで提供できる特製バイオリアクターを開発する。
    • GE Global Research:http://www.geglobalresearch.com/

 

  • Medicine on Demand: Cell-Free Production of Glycosylated Protein Therapeutics
    • オンデマンド薬品 – 治療用糖タンパク質の無細胞精製:多くの製薬プロセスに用いられる糖タンパク質を、24時間いつでもどのようなものでも精製できる方法論を編み出すのが目的。 GE Global Researchと共同で無細胞での糖タンパク質の自動精製を目指す。

 

  • Safety Assessment of Lubrisynth in Healthy Canines
    • 健康な犬を用いたLubrisynth®の安全性評価:Articulate Biomedical, LLCが商品化したラブリシンス(Lubrisynth®)は、軟骨や関節の機能改善をもたらす新薬である。従来ラットによる試験を行ってきたが、今後の商品化、人体への影響評価を見込んで、犬による試験を行う。

 

  • Therapeutic Applications of Non-Thermal Plasma
    • 低温プラズマの治療への応用:SteriFreeMed社のプラズマ処理技術は、活性酸素窒素種を使った遊離基ベースのポータブルな滅菌システムを開発するため、低温プラズマ処理と過酸化水素・オゾン技術とを組み合わせた。このシステムは、慢性創傷を治療するための低コストな医療機器を実現する。
    • SteriFreeMed:http://www.sterifreemed.com/

 

  • Culture Platforms to Grow Pre-Vascularized Tissues for Regenerative Medicine
    • 再生医療に用いる血管化する前の組織を育てるための培養プラットフォーム:CorSolutions社と協力して、機能的な微小血管構造を含む三次元培養と、動物を使った顕微鏡手術の初期実証に取り組んできた。今後、血管灌流と培養パラメーターをコントロールする毛細血管新生化培養のツールを提供していく。
    • CorSolutions:http://www.mycorsolutions.com/

 

  • Use of Tethered Enzyme Technology to Diagnose Neural Injury
    • 神経損傷の診断のための「係留酵素技術」(TET)の活用:「係留酵素技術」(TET)を活用したPOCT(臨床現場即時検査、被験者が気軽に身近に受けられる検査)を開発する。Motion Intelligence, LLCとの協業により、軽度外傷性脳損傷(MTBI)など神経損傷の識別のための包括的な診断・予後観察プラットフォームを提供、商品化を進めていく。
    • ※TET:Tethered Enzyme Technology (TET™)
    • Motion Intelligence:http://motionintel.com/

 

  • Science Equipment Lending Library for K-12 New York State Teachers
    • ニューヨーク州高校3年生担当教諭向け理科器具貸出ライブラリ:理科教育のために必要なキットの貸出と、Cornell Institute for Biology Teachers (CIBT)による電話・メールのサポートを、教師向けに提供する。生徒が実際の器具やマテリアルに触れながら学習することを目指す。

 

  • Student Internship and Industry Partnership
    • 学生インターンシップならびに産業パートナーシップ:コーネルにおけるサマーインターンシップの提供。

 

いずれのプロジェクトもやや地味な内容ではありますが、突飛なアイディアではなく研究成果に基づいた産業化を目指しており、またすでに実績のあるプロジェクトも多いことから、今後も着実な成果を出すことが見込まれます。産官学連携での新ビジネス創出は日本でも取り組まれており、その多くが地味な研究課題ですが、世界に冠たるコーネル大学でもこのように着実な研究のビジネス化が進められていることは、励みになるとともに刺激になると感じます。

 

Photo:”Cornellpicture” by Cornell010 at English Wikipedia – Transferred from en.wikipedia to Commons by Sreejithk2000 using CommonsHelper.. Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.

Writer: げ

LINEで送る
Pocket